結論の要点
Wise はミッドマーケットレートの厳格適用と透明な手数料により、国際送金と多通貨口座のコスト効率に特化します。Revolut は多機能なスーパーアプリとして、予算管理、使い捨てバーチャルカード、旅行特典などを階層型サブスクで拡張します。高額送金・為替優位を最優先するなら Wise、複合的な金融機能を「1アプリ」で求めるなら Revolut が適します。なるほど、両者は最適地が重なりそうで実は別です。
1. サービスの位置づけとモデル
- Wise: 国際送金と多通貨アカウントの専業。実勢のミッドマーケットレートを適用し、手数料は明示。隠れコストを排除します。

- Revolut: 多機能金融アプリ。無料プランに加えて、有料の Premium/Metal で上限・特典・保険等を拡張します。

1.1 法的地位と規制
- Wise: 英国を拠点とする送金業者。上場企業で透明性が高い設計です。
- Revolut: 英国発フィンテック。地域により銀行免許または電子マネー業として運営します。
2. 料金・レート・上限の考え方
- 為替レート: Wise はミッドマーケットレートの適用が原則。Revolut はプランによっては優遇枠があり、週末スプレッド等の条件に留意します。
- 送金手数料: Wise は送金額・通貨・経路に応じた明示手数料。Revolut は一定枠内の両替が無料となるプランがあり、超過分にレート上乗せや手数料が生じます。
- 上限/特典: Revolut Premium/Metal は月間無料両替枠、旅行保険、空港ラウンジ等の付帯を持ちます。Wise は機能を絞り、原価ベースの料金設計です。
2.1 主な仕様と料金の比較表
| 項目 | Wise | Revolut (スタンダード/プレミアム/メタル) |
|---|---|---|
| 月額料金 | 無料 | 無料 / 980円 / 1,980円 |
| カード発行手数料 (1枚目) | 1,200円 | 無料 |
| 対応通貨数 | 約40通貨 | 約35通貨 |
| ATM無料引き出し上限 | 月2回、合計30,000円まで | 月25,000円 / 50,000円 / 100,000円 |
| 為替レートモデル | ミッドマーケットレート | 独自レート |
| 週末両替手数料 | なし | スタンダード: 1% / プレミアム・メタル: 追加なし |
| 日本からの最大送金限度額 | 1億5000万円 | 100万円 |
| 主要な付加価値 | 主要通貨含む複数の現地口座情報取得 | キャッシュバック、パートナー特典 |
| 国内送金の無料回数/月 | — | 1回 / 3回 / 5回 | | 両替の公正利用枠/月 | — | スタンダード: 300,000円 / プレミアム・メタル: 追加なし | | 両替回数上限(24時間) | — | 100回(全プラン共通) |
注: プランや上限は地域・時期で変更される可能性があります。Revolutの週末手数料はプラン/条件に依存します(詳細は 2.4〜2.6 を参照)。送金限度額は本人確認レベル・法令・口座状態により変動の可能性があります。最新情報は公式サイトでの確認を推奨します。
2.2 Wiseデビットカードの料金・手数料(日本円)
| 項目 | 内容 | 料金 |
|---|---|---|
| カードの注文 | サブスクリプション料金はありません | 1,200円 |
| 速達配送 | DHLで1〜2日で配送 | 1,298円〜 |
| デジタルカード | オンライン・店舗・海外での決済に利用可 | 無料 |
| カードの交換 | 任意のタイミングで再発行 | 640円 |
| 期限切れカードの交換 | 期限到来時に新カードを通知・発行 | 無料 |
| 外部Eウォレットのチャージ | 一部通貨でのデジタルウォレット等へのチャージに適用 | 2% |
補足: 手数料は通貨・地域・時期により変動します。最新の料金は Wise の公式料金ページ でご確認ください。
2.3 Revolut 共通事項(日本)
入金(チャージ)手数料(全プラン共通)
| カード種別 | 国内発行 | 例外(海外発行/ビジネス等) |
|---|---|---|
| Visa クレジット/プリペイド | 1.7% | 1.7% |
| Visa デビット | 無料 | 1.7% |
| Mastercard クレジット/デビット | 無料 | 1.7% |
| Mastercard プリペイド | 1.3% | 1.7% |
注: アプリ表示の手数料が最終。銀行振込や国際送金では振込元/中継銀行の手数料が発生する場合があります。
バーチャルカード(全プラン共通)
- バーチャル/ワンタイム(使い捨て)バーチャル: 無料
両替回数(全プラン共通)
- 24時間で最大100回(外貨両替および貴金属取引に適用)。
Pay All Fees(中継銀行手数料の前払い、全プラン共通)
- 受取人が満額を受け取れるよう、送金時に定額手数料を前払いするオプション。
- 手数料は基本通貨やルートにより異なり、送金前にアプリで提示(随時変更)。プランに応じて割引あり。
- 注意: 手数料および対応ルートは随時更新されます。最新情報はアプリ内表示または手数料ページをご確認ください。
2.4 Revolut スタンダードの料金・手数料(日本円)
サブスクリプション
- 手数料: 無料
リアルカードの発行・配送
| 項目 | 内容 | 料金 |
|---|---|---|
| カード発行料(スタンダード) | 初回発行 | 無料 |
| 発送料(スタンダード) | 普通郵便 / 速達 | 500円 / 2,000円 |
| メタル会員→スタンダード再発行 | メタルカードは再発行後スタンダードカードへ | 注記 |
バーチャル/カスタマイズカード
- バーチャル/ワンタイム(使い捨て)バーチャル: 共通事項参照(無料)
- カスタマイズカード(デザイン): 700円(発行・配送は別途)
ご利用(ATM/送金)
- ATM引き出し: 月次サイクルで25,000円まで無料(外貨は相当額)。超過分は2%の手数料。ATM事業者手数料が別途かかる場合があります。
- 送金(アプリ内): 無料
- 送金(銀行口座へ・国内): 220円(毎月1回まで無料。月次サイクル基準)
- 送金(銀行口座へ・国際): 無料(中継銀行等の手数料が発生する場合あり。アプリで事前提示/予測表示)
両替・公正利用・週末(概要)
- 公正利用枠: 月300,000円(または相当額)まで追加手数料なし。超過分は0.5%(2.7参照)。
- 週末マークアップ: スタンダードは週末に1%(時間帯は2.7参照)。
- 回数上限: 24時間で最大100回(2.7参照)。
参考リンク:
- 料金プラン(JP): https://www.revolut.com/ja-JP/plans/
- 手数料一覧(Legal: Fees): https://www.revolut.com/legal/fees/
2.5 Revolut プレミアムの料金・手数料(日本円)
サブスクリプション
- 手数料: 月額980円 または 年額9,800円(前払い)
- 課金タイミング: 契約日を起点とする「月次サイクル」で請求(例: 1月10日契約 → 毎月10日が応当日)。
リアルカードの発行・配送
- 発行料: 1枚目/2枚目 無料、3枚目以降 2,000円(カード種類を問わず合算でカウント)
- 発送料: 無料
- 14日以内にプレミアム解約: 所定の手数料が発生(アプリに表示)
バーチャル/カスタマイズカード
- バーチャル/ワンタイム(使い捨て)バーチャル: 共通事項参照(無料)
- カスタマイズカード(デザイン): プレミアムはデザイン手数料 無料
ご利用(ATM/送金)
- ATM引き出し: 月次サイクルで50,000円まで無料(外貨は相当額)。超過分は2%の手数料。ATM事業者手数料が別途かかる場合があります。
- 送金(アプリ内): 無料
- 送金(銀行口座へ・国内): 220円(毎月3回まで無料。月次サイクル基準)
- 送金(銀行口座へ・国際): 無料(中継銀行等の手数料が発生する場合あり。アプリで事前提示/予測表示)
両替・公正利用・週末(概要)
- 公正利用枠: 追加の両替手数料なし(平日)。
- 週末マークアップ: 追加なし。
- 回数上限: 24時間で最大100回(2.7参照)。
貴金属の売買
- 0.5% または 150円のいずれか大きい金額。
解約・返金ポリシー(プレミアム)
- 契約後14日以内の解約: 利用状況に基づき一部/全額返金。既に1枚目のカードが発送済みの場合は発送料2,000円を支払い。
- 契約後14日超〜10ヶ月以内の解約:
- 月額プラン: 以後の自動更新は停止。既払月額は返金なし。加えて違約金としてサブスクリプション2ヶ月分を支払い。
- 年額プラン: 翌年以降の自動更新を停止。既払年額は返金なし(契約期間満了まで利用可)。
- 契約後10ヶ月以降の解約:
- 月額プラン: 以後の自動更新は停止。既払月額は返金なし(当月末まで利用可)。
- 年額プラン: 翌年以降の自動更新を停止。既払年額は返金なし(年額契約期間満了まで利用可)。
2.6 Revolut メタルの料金・手数料(日本円)
サブスクリプション
- 手数料: 月額1,980円 または 年額19,800円(前払い)
- 課金タイミング: 契約日を起点とする「月次サイクル」で請求(例: 1月10日契約 → 毎月10日が応当日)。
リアルカードの発行・配送
| 枚数 | メタルカード | プレミアム/スタンダードカード |
|---|---|---|
| 1枚目 | 無料 | 無料 |
| 2枚目 | 6,000円 | 無料 |
| 3枚目以降 | 6,000円 | 2,000円 |
- カウント方法: カード種類を問わず、発行したリアルカードの合計枚数でカウントします。
- 14日以内にメタル解約: 所定の手数料が発生(アプリに表示)。
- 発送料: 無料。
バーチャル/カスタマイズカード
- バーチャル/ワンタイム(使い捨て)バーチャル: 共通事項参照(無料)
- カスタマイズカード(デザイン): メタルはデザイン手数料 無料
ご利用(ATM/送金)
- ATM引き出し: 月次サイクルで100,000円まで無料(外貨は相当額)。超過分は2%手数料。ATM事業者手数料が別途かかる場合があります。
- 送金(アプリ内): 無料
- 送金(銀行口座へ・国内): 220円(毎月5回まで無料。月次サイクル基準)
- 送金(銀行口座へ・国際): 無料(中継銀行等の手数料が発生する場合あり。アプリで事前提示/予測表示)
メタルキャッシュバック
- 対象カード利用額の1.0%をキャッシュバック。
- 上限: 月次サイクルあたり5,000円。
両替・公正利用・週末(概要)
- 公正利用枠: 追加の両替手数料なし(平日)。
- 週末マークアップ: 追加なし。
- 回数上限: 24時間で最大100回(2.7参照)。
貴金属の売買
- 0.5% または 150円のいずれか大きい金額。
解約・返金ポリシー(メタル)
- 契約後14日以内の解約: 利用状況に基づき一部/全額返金。ただし、メタルカードを発行・配送済みの場合はカード発行代金6,000円と発送料を請求。
- 契約後14日超〜10ヶ月以内の解約:
- 月額プラン: 以後の自動更新は停止。既払月額は返金なし。加えて違約金としてサブスクリプション2ヶ月分を支払い(当月次サイクル末日まで利用可)。
- 年額プラン: 翌年以降の自動更新を停止。既払年額は返金なし(年額契約期間満了まで利用可)。
- 契約後10ヶ月以降の解約:
- 月額プラン: 以後の自動更新は停止。既払月額は返金なし(当月次サイクル末日まで利用可)。
- 年額プラン: 翌年以降の自動更新を停止。既払年額は返金なし(年額契約期間満了まで利用可)。
2.7 両替の公正利用・週末手数料・回数(Revolut 日本)
- 公正利用(平日・月次): スタンダードは月300,000円(または相当額)まで追加手数料なし。超過分は0.5%の手数料。プレミアム/メタルは追加の両替手数料なし。
- 週末マークアップ: 夏季は土曜06:00〜月曜07:00、冬季は土曜07:00〜月曜08:00に行われた両替に手数料が発生する場合があります。スタンダードは1%、プレミアム/メタルは追加なし。
- 回数上限: 両替は24時間で最大100回(外貨両替および貴金属取引に適用)。
注: 上記は日本向けの一般的な案内です。実際の適用はアプリの表示(プロフィール > ご利用プラン > 公正使用限度額・リセット日)および「Legal: Fees」に従います。
3. ユースケース別の適性
- 高額な海外送金を低コストで行いたい: Wise が本命です。レートと手数料の総額が読みやすく、到着も速い設計です。
- 旅行・EC 決済を安全に便利にまとめたい: Revolut が有力です。使い捨てバーチャルカードや口座分け、通知・予算管理の体験が優れます。
- 単純明快な運用を求める: Wise。月額課金や複雑なプランがなく、費目が明快です。
4. セキュリティと運用
- カードセキュリティ: Revolut の使い捨てバーチャルカードはオンライン決済の漏えいリスクを抑えます。Wise も2段階認証やカード凍結を提供します。
- アカウント管理: 両者ともに即時ロック、プッシュ通知、上限設定が可能です。運用設計次第で被害面積を抑制できます。
5. 実体験:送金・決済の現場から
- 海外の友人との送金は当初 PayPal と Wise を併用し、最終的には Wise だけで十分と判断していました。
- ただし、友人が韓国を訪れた際に MasterCard 非対応の店舗・端末に遭遇し、Wise カード(MasterCard)が利用できない場面がありました。
- 併せて、ソニー銀行は韓国ウォン(KRW)に非対応で、現地通貨の両替や引き出しの選択肢が限定されました。
- Visa ブランドの Revolut を用意していれば、当該場面で決済可能性が高まり、運用のリスク分散になったと考えます。
- 一方で、米国では Wise のみで支障なく運用できた実績があり、地域の受け入れ状況に差があることがわかります。
教訓として、送金の主軸は Wise、決済の可用性確保には Revolut(Visa)を補完とする戦略が、アジア圏を含む移動時の実務上の安定性を高めます。加えて、利用予定地域におけるカードブランド受入可否と通貨対応(銀行・アプリ双方)の事前確認を推奨します。
6. 実務的な選び分けの指針
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コスト最小化が主目標: Wise を第一候補に。レートと手数料の透明性が高く、総コストを把握しやすいです。
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多機能と利便の最大化: Revolut Premium/Metal を検討。旅行頻度が高い、オンライン決済が多い場合にペイします。
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併用戦略: Wise をメインの送金・両替に、Revolut をオンライン決済や予算管理に。カードブランドの多様化(例: Visa/MC)も副次効果を持ちます。
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提携特典目当ての上位プラン選択: プラン付帯の提携サービス(例: VPNや各種サブスク、キャンペーン特典)は流動的で、提携解除・条件変更により提供が終了/改定される可能性があります。中核機能(両替枠、ATM無料枠、保険等)で採算が取れるかを基準に判断し、外部提携特典への過度な依存は避けます。
まとめ
Wise は「送金・両替の効率」に特化し、Revolut は「多機能の便益」を束ねます。どちらを選ぶかは、費用対効果をどの基準で測るかに帰着します。実務では上記指針に従い、必要に応じて併用するのが現実的です。
最終確認日: 2025-09-02