2025年春、国内キャリアの料金プランや端末販売の状況は大きく変化しました。特にドコモの「irumo」終了アナウンスと、最新端末Pixel 9aのMNP施策は、多くの利用者に影響を与えるものでした。筆者自身もPixel 7aの不具合を契機に、代替機を経由してPixel 9aの“実質月52円”キャンペーンに駆け込みました。本稿では、その一連の経緯を時系列に沿って記録します。
Pixel 7aのバッテリー膨張と修理対応(iCracked)
4月下旬、GoogleはPixel 7aの一部端末におけるバッテリー膨張の不具合について無償での修理対応(特別保証/修理プログラム)を案内しました。症状としては背面パネルが浮き上がり、端末の使用が危険になるというものです。筆者のPixel 7aも例外ではなく、バッテリーが膨張してパネルが大きく浮く状態に。4月中に正規修理プロバイダであるiCrackedへ連絡したものの、部品入荷は未定との返答。5月に入るとさらに膨張が進み、日常利用は困難と判断し、端末を先にiCrackedへ預ける決断を下しました。
代替機としてのRedmi Note 11 Pro 5G
Pixel 7aが修理中の間は、手元にあったXiaomi Redmi Note 11 Pro 5Gを暫定的に使用しました。Snapdragon 695搭載の同機は性能的にも十分で、Googleアカウントの同期機能を用いることでアプリやデータの移行もスムーズでした。ただし、カメラ性能やソフトウェア更新の面ではPixelシリーズに劣る部分があり、あくまで一時的な代替と割り切らざるを得ませんでした。
irumo終了のアナウンスと判断
同じ頃、ドコモは低価格プラン「irumo」の新規受付を2025年6月4日で終了すると発表しました。特に0.5GB/月550円という超低価格プランは、通話用回線やMNP弾として人気を博していましたが、この発表により一気に“駆け込み需要”が高まりました。既存ユーザーは継続利用できるものの、新規受付停止および一部のプラン変更受付が終了となるため(詳細は当時の公式告知に準拠)、筆者も5月末の段階で「最後のチャンス」としてMNPを検討することになりました。なお筆者は既にドコモ回線を契約していたため、別キャリアの回線をMNPしてirumoを追加契約する前提で検討しました。
加えて、実は3月にも別回線をirumoへMNPしており、その際に入手した端末は母に譲渡しています。つまり今回の申込は、筆者名義では3回線目となる契約でした。一般に“180日ルール”(申込日から遡って180日以内に2回線契約があると同一名義で3回線目は不可)とされますが、これは公式に明文化された規約ではなく非公表の運用と見られます。実際の適用可否は申込時点で各自が確認する必要があるため、筆者も期間計算が正しいか内心ひやひやしつつ、今回はオンラインで手続きを進めました。
Pixel 9aの登場と販売施策
5月中旬、Google Pixel 9aが国内キャリアから発売されました。上位モデルと同じTensor G4を搭載し、防塵防水にも対応。従来の「a」シリーズよりも完成度が高く、廉価機種の枠を超える仕上がりでした。
販売施策の目玉は、MNPと「いつでもカエドキプログラム」を組み合わせることで実現する価格設定です。ドコモではPixel 9aを24回払いで契約し、23か月後に返却した場合、実質負担は総額1,199円(月52円程度)に抑えられました。この“実質2年レンタル”とも呼ばれる方式はiPhoneでも一般化しており、ユーザーは返却・継続利用・残価清算後の下取りなど柔軟に選べます。一括払いでも40,799円と、発売直後の最新機種としては割安感がありました。さらにauでも「スマホトクするプログラム」により、実質負担1,200円前後の条件が提示され、両キャリアでほぼ同水準となっていました。
注: 実質価格や条件(負担額・返却時期・残価・特典・対象店舗/オンライン可否)は、販売店・時期・在庫・キャンペーンにより変動します。購入時点の店頭表示と公式条件を必ずご確認ください。
駆け込みMNPとPixel 9a購入
5月末、筆者はついに決断しました。Pixel 7aは修理中で手元にない状況、代替のRedmiでは物足りなさを感じる日々。そして目の前には、irumo終了の期限とPixel 9aの実質“月52円”施策。この三つの要素が重なり、既存のドコモ回線とは別に、他社回線をMNPでirumoへオンラインで移行(追加契約)しました。あわせてオンラインでPixel 9aを同時購入。結果的に、最新機能を備えたスマートフォンを最小限の負担で手に入れることができました。
実際に感じたことと考察
Pixel 7aのバッテリー不具合は予期せぬトラブルでしたが、それが契機となって最新の販売施策を体験することになりました。いわば、ハードの不具合、キャリアの料金改定、端末販売のキャンペーンという三つの要素が交差した偶然の産物です。なるほど、スマートフォンの選択は計画的に行っても、外的要因によって大きく左右されるものだと痛感しました。
また、実質負担を極限まで低くする施策は、消費者にとっては魅力的ですが、2年後に返却や残価清算という条件が付随します。中古市場との価格差や端末の状態によっては追加の判断を迫られるため、「完全に無料」というわけではありません。それでも、最新機種を最小限の負担で体験できるという価値は大きいと言えます。
なお直近の体感として、筆者の行動範囲ではドコモの電波状況(特に屋内や駅構内)がやや不安定に感じられる場面が増えています。次の更新タイミングでは、au回線(povo等を含む)へのMNPも視野に入れつつ、しばらく併用しながら最適な回線を見極めるつもりです。通信品質は地域・時間帯・端末によって大きく変わるため、最終判断は実利用に基づいて行いたいと考えています。
まとめ
2025年春、筆者の体験は次のように整理できます。
- Pixel 7aのバッテリー膨張により、iCrackedで修理を依頼。
- 代替機としてRedmi Note 11 Pro 5Gを使用。
- ドコモがirumo終了を発表し、駆け込みMNPを検討。
- 3月に別回線をirumoへMNPし、端末は母へ譲渡(名義上は2回線目)。
- Pixel 9aが発売され、“実質月52円”施策が開始。
- 5月末、既存ドコモ回線とは別に、他社回線をMNPでirumoに移行し、その回線でPixel 9aを購入(名義上3回線目。180日ルールは非公表運用と見られるため、適用可否は申込時に要確認)。
この流れは、スマートフォンと料金プランを取り巻く環境がいかに動的であるかを物語っています。ユーザーは不測の事態や制度変更に適応しながら、最適解を模索していくしかありません。スマホ選びはもはや端末性能だけでなく、販売施策や料金体系との相性が重要であることを、改めて示す事例でした。