2025年2月24日、Anthropicは新たなモデル Claude 3.7 Sonnet を発表しました。本モデルは即時応答と深い推論を一体化させた、画期的なハイブリッド推論モデルとして注目を集めています。本記事は 2025年3月10日 の時点で公開されている情報に基づいて作成しています。
ハイブリッド推論へ:即答と熟考を使い分ける
Claude 3.7 Sonnet は、一つのモデルで「すばやく答えるモード」と「考えを深めるモード(extended thinking)」の両方を切り替えながら動作できる設計です。これは「最初から終わりまで同じ脳が使える」人間の思考に近く、シームレスなユーザー体験をもたらします。API利用時には、モデルが使う「思考トークン数(thinking budget)」も指定できるようになっており、速度や費用対効率と出力の品質のバランスを柔軟に調整可能です。
SWE-bench・TAU-benchで最高性能を更新
Claude 3.7 Sonnet は、リアルワールドのソフトウェア課題に対応する SWE-bench Verified や、エージェント型の複雑タスクを評価する TAU-bench において、トップ性能を達成。特にコーディングや、命令対応・マルチモーダル処理といった多岐にわたるシーンで高精度を発揮しています。
Claude Code:ターミナルから使えるエージェント型コーディング支援
同時発表された Claude Code は、初のエージェント型コーディングツールです。コードの検索・読み取り・編集・テスト実行・GitHubへのコミットやプッシュ、CLIツールの操作などを一連の流れで代行でき、まるで”ペアプログラマ”のように開発をサポートします。
初期テストでは、通常なら45分以上かかるタスクを一度で完結させる実力を示したとのこと。TDD(テスト駆動開発)、複雑なバグのデバッグ、大規模リファクタリングにおいて特にその有用性が際立ちます。
GitHub連携による作業効率の向上
Claude 3.7 Sonnet は、 Claude.ai上でのGitHub連携にも対応しており、コードベースと直接連携しながらバグ修正、機能開発、ドキュメント生成などが可能になりました。開発者はAIをより自然な”パートナー”として活用できます。
まとめ:AIの思考を操作できる時代へ
Claude 3.7 Sonnet は、
- 即時応答と深考のハイブリッド推論,
- 思考時間の柔軟な制御,
- 最先端ベンチマークでの性能,
- エージェント型コーディングツールの提供,
- GitHub連携を含む開発支援機能
を一挙に実現した、Anthropicにとって画期的なモデルです。AIが単なる情報生成を超えて、自ら”考えるプロセス”まで操作可能になったこの進化は、開発現場や知識ワークのあり方を大きく変える兆しと言えるでしょう。
参考文献
- Anthropic. Claude 3.7 Sonnet and Claude Code (公開日:2025年2月24日)